1on1ミーティングのデメリット?正しい導入方法を説明します
世界最先端のベンチャー企業が集まるシリコンバレー発祥の1on1ミーティング。日本では2012年にヤフーが導入し、組織を活性化させました。その後、マネジメントの手法として、1on1ミーティングを導入する企業が増えています。しかし、すべての企業で1on1ミーティングの導入がうまくいっているわけではありません。
従業員エンゲージメントに有効な1on1ミーティングです。しかし「制度」だけで、1on1ミーティングを導入するだけでは、メリットよりデメリットが大きくなります。この記事では正しく1on1ミーティングが導入できなかった場合のデメリットを例示。その後に、導入が成功した場合のメリットをお伝えします。
最後に1on1ミーティングの正しい導入方法を紹介します。ぜひ、最後までご覧ください。
目次
1on1ミーティングのデメリット|導入失敗例
職場への1on1ミーティングの導入がうまくいかなかった。あるいは、1on1ミーティングの目的が職場に浸透していなかった時に、デメリットと感じることをあげました。
上司・部下、共に業務量が増える
1on1ミーティングは、上司と部下が1対1になり比較的短い周期で話し合うミーティングです。頻度は週に1回または月に1回の頻度が多いようです。通常の業務に加えて1on1ミーティングをするので、業務量が増えます。特に上司は部下の人数が多いほど時間を取られます。
効果が見えにくい
1on1ミーティングは時間を取るのに、成果が出るまで時間がかかります。また、ROI(投資利益率)のように、どれだけ投資したから効果が出たというような定量的な判定もできません。
上司のコーチングスキルの影響を受ける
1on1ミーティングは、上司が部下に仕事のやり方を教えるティーチングよりも、コーチングの要素が大きくなります。部下の話を傾聴する。そして問いを与え、部下自身が考えて答えを出せるようにしなければなりません。そのため、上司のコーチングスキルのレベルにより、1on1ミーティングの成果が変わります。
1on1ミーティングのメリット|導入成功例
次に1on1ミーティングの導入が成功した時に得られる、本来のメリットを紹介します。
自律した部下が育成できる
1on1ミーティングでは上司と部下が1対1で、仕事のことだけでなくプライベートなことも話します。上司は部下の話を傾聴する。そして、部下が自分で問題点に気づき、自分で考えるように促す。これを定期的な間隔で繰り返すことにより、自分自身で考えて行動できる自律した部下を育成できます。
上司と部下の信頼関係が構築できる
1on1ミーティングでは、定期的に上司と部下が話し合う場を持ちます。繰り返し、定期的に話し合いをするので、部下との親密度も高くなるでしょう。また、部下の仕事上の悩みやプライベートの悩みを聞く機会も多く、お互いに自己開示していくことで信頼関係が構築できます。
また、今まで遠慮して上司に話しかけられなかった部下も、これまでよりは話しかけやすくなるでしょう。
従業員エンゲージメントが向上する
1on1ミーティングを導入する目的の大きな理由に、従業員エンゲージメントの向上があります。上司は会社の方針をかみ砕いて、部下に伝える機会があるでしょう。そうすることにより会社への理解度や共感度も高まります。また、部下自身が自分で積極的に動こうとする動機づけに。これにより行動意欲も高まります。
また、定期的に上司と部下が話し合うことで、上司は部下の変化に気付きやすくなるでしょう。そのため突然、部下が退職するという事態も少なくなります。結果として、離職率は低下します。
1on1ミーティングの効果的な導入方法
1on1ミーティングを正しく導入すれば、大きな成果を上げられます。違う言い方をすれば、1on1ミーティングで成果を上げている企業は、1on1ミーティングという「制度」だけを導入しているのではなく、1on1ミーティングがうまく機能するようにしているのです。
ここでは1on1ミーティングを導入する時に留意したらよい、主要なポイントをお伝えします。
1on1ミーティングの目的を理解する
1on1ミーティングの目的を上司が正しく理解し、部下と共有することが重要です。それができていないと、従来の人事評価の面談と大差がなくなります。
1on1ミーティングの目的は「自律的な部下の成長促進」です。そのため、従来のように上司が主役のように話すのではなく、部下に「話をさせる」「考えさせる」「行動させる」ようにすることが重要になります。
上司と部下が1on1ミーティングの目的を理解し、共有していれば大きく道を間違えることはないでしょう。
1on1ミーティングの前にアジェンダを共有する
1on1ミーティングについて、上司から「1on1で話すことがない」という悩みをよく聞きます。しかし、実際に1on1ミーティングの進め方を知っておけば困ることはないでしょう。
1on1ミーティングのテーマとしては主に、「プライベートに関すること」「心身の健康状態に関すること」「モチベーションに関すること」「組織に関すること」「目標設定に関すること」「将来のキャリアに関すること」「組織方針の背景に関すること」に分類できます。
これらの中から1on1ミーティングで話すテーマ・アジェンダを決めて、あらかじめ部下に伝えておくのです。事前にアジェンダを部下と共有しておけば、1on1ミーティングの場で話すことがないという心配はなくなります。また、部下の方からも「話すことはありません」と言われることもないでしょう。
前述の1on1ミーティングのテーマや話し方の詳細は下記の記事に詳しくまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
上司のコーチング力を高める
上司が部下を指導するというやり方になれている人は多いと思います。しかし、1on1ミーティングに必要なスキルはコーチングです。部下の話を引き出し、自ら考えさせ、行動するように促す。はじめからコーチングのスキルを持っている人は少ないと思います。しかし、上司のコーチングスキルは1on1ミーティングの成果を大きく左右します。
そのため、1on1ミーティングの導入が決まれば、上司にコーチングスキルの研修を受けさせることがおすすめです。スムーズに1on1ミーティングが導入できます。
まとめ
この記事では1on1ミーティングのデメリットとメリットを紹介しました。デメリットであげた「上司・部下、共に業務量が増える」は、たしかにそういう面があります。しかし、1on1ミーティングは短い間隔で行うので、1回の時間は30分でも十分に実施できます。また、事前にアジェンダを共有しておけば、さらに効率的になるでしょう。
「効果が見えにくい」というのは数字として把握しにくいこと。1on1ミーティングをした上司には、部下の成長がはっきりとわかります。
また、1on1ミーティングの成果は、「部下が自律する」「問題解決能力が高くなる」「モチベーションがあがる」といった数値化しにくいものです。あらかじめ、1on1ミーティングの成果は数値化しにくいと理解しておくといいと思います。
「上司のコーチングスキルの影響を受ける」。これはその通りです。「1on1ミーティングの効果的な導入方法」の章でも書きましたが、1on1ミーティングを導入する時は上司にコーチングスキルの研修受講をおすすめします。
コーチングの中での重要な要素である「傾聴」「承認」「質問」「観察」ですが、単に知識として知っているだけでは、実際の現場で生かせません。
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最後までお読みくださりありがとうございました。